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05 / GIN

ジン

九和九和

植物の名前がずらり。酒棚でしょうか、植物園でしょうか?

酒茵酒茵

香りづけに使う植物のことだよ。ジンの中心はジュニパー。そこに柑橘やハーブを重ねるから、同じジンでも香りはさまざま。

甘さの見方
ミキサーの糖分で大きく変わる
飲み方の入口
ソーダ割りとトニック割りを比較

味わいの見取り図

酒種・スタイルの一般的な目安です。商品別の試飲採点ではありません。甘い香り、糖分、飲みやすさ、アルコール度数は別々に見ます。

度数
37.5–50%(一般的な目安)
甘さ
ドライ中心/加糖タイプも
酸味
割り材で変わる
香り
ジュニパー・柑橘・ハーブ
口当たり
シャープ〜丸い
飲み方
ソーダ割りから香りを比較

イラストは酒器・風味・原料のイメージです。描かれた素材がすべての商品に含まれるわけではありません。

THE DETAILS

造りと味わいを知る

ジュネヴァから、世界のジンへ

ジンの背景には、オランダなどで親しまれたジュニパー風味の蒸留酒ジュネヴァがあります。英国では18世紀の大量消費が社会問題になった時期を経て、蒸留技術や嗜好の変化からドライなスタイルが広がりました。現在のクラフトジンでは地域の柑橘や茶、香草も使われますが、歴史の入口にあるジュニパーの役割を知ると、多様な銘柄を比較する軸ができます。

ボタニカルは数より組み合わせ

ジュニパーの樹脂や針葉樹を思わせる香りを中心に、コリアンダー、柑橘の皮、根や花などを組み合わせます。浸漬して蒸留するか、蒸気に香りを移すかでも印象が変わります。使う植物が多ければ複雑で優れているとは限りません。数種類を明快に組み合わせたものと、多くの素材を重ねたものには、それぞれ違う魅力があります。

ドライという言葉の読み方

London Dry は、ロンドンで造られたという所在地表示だけの意味ではなく、製法に関わるスタイル名として使われます。一方、香りに甘い印象があっても、糖分そのものが多いとは限りません。柑橘主体、花の香り、スパイスの余韻など、自分が感じた特徴を言葉にすると選びやすくなります。商品ごとの原材料や度数も併せて見ると、同じジンの中の差がはっきりします。

まずは飾りを控えて飲み比べる

最初は少量のジンに炭酸水や控えめな量のトニックを合わせ、もとの香りを確かめるのがおすすめです。柑橘やハーブをたくさん添えると、ジン自体の特徴が見えにくくなることもあります。料理なら香草を使った魚や鶏、柑橘を添えた前菜などから試せます。飲み比べる時は割り材と割合を揃えると、銘柄ごとの違いに気づきやすくなります。

参考資料: WSET · Gin history · WSET · Spirits production

九和九和

ジンの香りは足し算の設計図

ジンは、蒸留した酒に植物の香りを移して造ります。この植物をボタニカルと呼び、使う種類と量の組み合わせが銘柄の個性そのものです。定番はコリアンダーシード、アンゼリカの根、レモンやオレンジの皮、カルダモンなど。十種類前後のものもあれば、四十種類を超えるものもあります。香りの移し方も、酒に漬け込んでから蒸留する方法と、蒸気を植物の上に通す方法があり、同じ材料でも仕上がりが変わります。配合を公開していない銘柄も多く、何が入っているか当てながら飲むのも楽しみ方のひとつです。

九和九和

ジュニパーベリーはベリーではない

ジンと名乗るには、杜松の実、いわゆるジュニパーベリーの香りが主役でなければならないと決められています。何を足しても構いませんが、これだけは外せない。そしてこの実、名前はベリーでも植物としては果実ではなく、松ぼっくりの仲間にあたる球果です。鱗が閉じて丸く見えるので実のような姿になっています。軽くつぶすと針葉樹の林のような清涼な香りがして、これがジンをジンにしている正体です。料理では肉の匂いをやわらげる香辛料として使われるもので、香りの役目は酒でも変わりません。

ジュニパーベリー。名前はベリーでも、植物学上は球果です。
ジュニパーベリー。名前はベリーでも、植物学上は球果です。 Denys Gromov / Pexels
九和九和

ロンドンドライはロンドンで造らなくてよい

ロンドンドライジンは産地名ではなく造り方の呼び名です。世界のどこで造ってもこの名前を使えます。条件は、香りづけを蒸留の工程で行うこと。つまり蒸留した後から香料や色を足してはいけません。甘みもごくわずかしか認められていません。だから後から足せない分、材料の選び方と蒸留の腕がそのまま味に出ます。ラベルにこの言葉があれば、後から手を加えていない、輪郭のはっきりした味だと見当がつきます。同じ表示でも銘柄ごとの差は大きいので、ひとくくりにしないほうが面白く飲めます。

九和九和

クラフトジンは土地の香りを持ち込む

小さな蒸溜所が地元の植物でジンを造る流れが、ここ十数年で世界に広がりました。日本では柚子や山椒、緑茶や檜。台湾では茘枝や台湾茶、柑橘の皮などが使われます。杜松の香りを軸にしながら、あとは土地の材料で自由に組み立てられるのがジンの面白いところ。ウイスキーのように長い熟成が要らないので、小さな蒸溜所でも造りはじめやすく、それが種類の多さにつながっています。銘柄ごとの差が大きいので、飲み比べが楽しい酒です。

AT THE TABLE · TAIWAN & BEYOND

食卓から、選んでみる。

料理写真はイメージです。組み合わせは味の特徴をもとにした提案で、銘柄や味付けによって印象は変わります。

野菜とハーブのサラダ
cottonbro studio · Pexels · License

野菜とハーブのサラダ

酒茵

柑橘やハーブの香るジンをソーダ割りに。ドレッシングの酸味が強いなら、柑橘は足しすぎない。甘いトニックより無糖ソーダから始めると料理の香りを比べやすいよ。

鹽酥雞(台湾の唐揚げ)
Josh Eleazar · Pexels · License

鹽酥雞(台湾の唐揚げ)

酒茵

九層塔入りの鹽酥雞には、ハーブ系ジンのソーダ割りも候補。植物の香りを共通点にする組み合わせ。ジュニパーが料理を覆うなら、ジンを少なくして調整しよう。