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02 / SHOCHU

焼酎

九和九和

芋・麦・米で、味も変わる?

酒茵酒茵

変わるよ。原料を麹で仕込み、発酵させてから蒸留するのが焼酎。芋・麦・米だけでなく、麹や蒸留方法にも注目すると選びやすいね。

甘さの見方
芋の甘い香りと糖分は別
飲み方の入口
水割り・お湯割りで調整

味わいの見取り図

酒種・スタイルの一般的な目安です。商品別の試飲採点ではありません。甘い香り、糖分、飲みやすさ、アルコール度数は別々に見ます。

度数
20–30%(25%が多い)
甘さ
糖分と甘い香りは別
酸味
控えめな印象が多い
香り
芋・麦・米・麹
口当たり
軽快〜コク豊か
飲み方
水・湯・炭酸で調整

イラストは酒器・風味・原料のイメージです。描かれた素材がすべての商品に含まれるわけではありません。

THE DETAILS

造りと味わいを知る

海を渡った蒸留が、土地の味になる

焼酎の歴史をたどると、琉球を含むアジアの海上交流に行き当たります。蒸留技術がどの一本の道で伝わったかには諸説ありますが、九州や沖縄では土地の原料と麹の技術が結びつき、芋、麦、米、黒糖、泡盛などの個性を育てました。いまの銘柄の違いにも、その地域で何が育ち、どのような食卓があったかが表れています。

原料の前に、麹と蒸留を知る

本格焼酎は、麹が生む糖を酵母で発酵させたもろみを、単式蒸留機で蒸留して造ります。原料香を残す造りが持ち味ですが、同じ芋焼酎でも、麹、発酵、常圧・減圧蒸留の選択で印象は大きく変わります。泡盛は黒麹を使い、米をすべて麹にする全麹仕込みが特徴。芋や麦という原料名だけでは見えない部分にも、蔵の工夫があります。

水や湯を加えることも、味わうこと

焼酎はそのまま飲むだけでなく、水割り、お湯割り、炭酸割りで表情を変えられます。芋のふくらみを感じたいなら穏やかなお湯割り、軽快さを楽しむなら炭酸割り、と香りを基準に試すと比較しやすくなります。割ると飲みやすくなりますが、入れた原酒のアルコール量が消えるわけではありません。少量をゆっくり味わうための調整と考えましょう。

熟成と食事で広がる選び方

甕やタンク、樽など、貯蔵する容器も香味を左右します。色が付いていない焼酎にも長く貯蔵したものがあり、透明だから若いとは限りません。麦なら焼き物の香ばしさ、芋なら豚肉や根菜の旨味、米なら穏やかな和食、といった組み合わせを出発点にできます。料理の脂や塩味に合わせて割り方を変えると、一本の中に違う楽しみ方が見えてきます。

参考資料: NRIB · The Story of Shochu · JSS · 焼酎と泡盛の歴史

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単式蒸留焼酎(本格焼酎)

蒸留機の構造が単純なため、原料と発酵に由来する香りの成分が多く残ります。原料と産地が変わると香りが大きく変わるのが、この区分のいちばんの特徴です。

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アルコール分25度のものなら、焼酎6に湯4の「ロクヨン」でアルコール分15度前後になり、旨味と甘みが出ます。ほかに水割り、ロック、ストレート、炭酸割りがあります。湯を先に入れてから焼酎を注ぐと自然に混ざります。

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連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)

連続式蒸留機はフーゼル油やアルデヒドなどの不純物を取り除けるため、原料由来の香りがほとんど残りません。香りの弱さがそのまま使いやすさになります。

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果汁、お茶、炭酸などで割る飲み方が中心です。梅酒などの果実酒を家庭で漬けるときにも使われます。単式蒸留焼酎と混ぜたものは混和焼酎と呼ばれ、比率によって「甲類乙類混和焼酎」か「乙類甲類混和焼酎」と表示されます。

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芋焼酎

蒸したさつまいもの甘い香りが基本です。品種と蒸留方法によっては、ラベンダーやばら、すみれのような花の香り、ライチやマンゴーのような果実の香り、紅茶やヨーグルトのような印象になるものもあります。ジョイホワイトで造ったものは淡麗です。

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お湯割りがいちばん香りが立ちます。鹿児島には「前割り」といって、あらかじめ水で好みの濃さに割り、数日から1週間寝かせてから燗をつける飲み方があります。ロックや炭酸割りも合います。豚肉料理、揚げもの、味の濃い煮込みと相性がよいお酒です。

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麦焼酎

麦らしい香ばしさとすっきりした甘みが基本です。蒸留方法によって、焙煎した麦やナッツのような豊かな風味のものから、さわやかな果実の香りの軽いものまで幅があります。

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水割り、ロック、お湯割り、炭酸割りのどれでも成立します。香りが穏やかなので、食事中ずっと飲む一本として使いやすいお酒です。焼き鳥、天ぷら、鶏の唐揚げ、蕎麦と合います。

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米焼酎

まろやかで、ほんのり甘みがあります。蒸留方法によっては軽く花のような味わいになり、清酒の吟醸香に近い果実の香りが出るものもあります。

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お湯割り、水割り、ロック。人吉・球磨には「直燗(じきかん)」といって、酒器ごと直火にかけて温める飲み方があり、ガラという酒器とチョクという小さい杯を使います。川魚、味噌味の料理、鶏肉と合います。

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黒糖焼酎

軽くてさわやかで、黒糖の甘い香りがします。蒸留酒なので焼酎そのものに糖分はほとんど含まれていませんが、飲むとほんのりした甘みを感じます。

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ロック、水割り、炭酸割りが合います。お湯割りにすると黒糖の香りがはっきり出ます。豚肉、鶏の揚げもの、南国の果物と合わせやすいお酒です。

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そば焼酎

軽くてなめらかな口当たりです。白い花や青い草のような香りがあり、ほんのりした甘みと深みがあります。

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蕎麦屋で蕎麦湯で割る飲み方が知られています。水割り、ロック、炭酸割りのいずれも合います。蕎麦、天ぷら、鴨肉と合わせやすいお酒です。

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泡盛

まろやかで素朴な味わいで、後味にほんのり甘みがあります。熟成するとバニラのような甘い香りとコクが出て、10年20年と経つと琥珀色に色づきます。泡盛は瓶に詰めたあとも熟成が進むのが、樽で熟成させる洋酒との違いです。

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沖縄では食事と一緒に水割りで飲むのが一般的です。本格焼酎はアルコール分25度前後のものが多いのに対し、泡盛は30度程度とやや高めのものが多いためです。豚肉料理と合わせやすく、脂の多いものには炭酸割りにライムかレモンを絞ると軽くなります。

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白麹

すっきりしてシャープ、黒麹よりやや軽い飲み口になります。芋焼酎に使うと、芋の甘みと風味は残しながら、角のない仕上がりになります。

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どの飲み方でも成立しますが、お湯割りにすると穏やかな甘みが出ます。ラベルに「白」と書かれていることが多いので、黒麹のものと飲みくらべると違いがわかりやすくなります。

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黒麹

どっしりとして重ための味わいになります。芋焼酎に使うと、芋由来のコクが強く出て、濃い仕上がりになります。辛口に感じるものが多いのは、クエン酸の酸味によると言われています。

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お湯割りにすると香りとコクがよく出ます。味の濃い料理、豚の角煮、焼き肉、揚げものと合わせやすいタイプです。

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黄麹

果物のような香りが出るのが特徴で、清酒の吟醸酒に近い印象になることがあります。温度管理の技術が上がったことで、黄麹を使った芋焼酎も増えています。

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香りを楽しむタイプなので、ロックか水割り、または冷やしてストレートで。白身魚、鶏肉、野菜の料理と合わせやすいお酒です。

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常圧・減圧蒸留

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蒸留時の圧力の違い。減圧では低い温度で蒸留できます。香味の傾向は変わりますが、原料や造りでも違いが出ます。

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甲類と乙類は優劣ではなく蒸留機の違い

焼酎の甲類乙類は品質の等級ではなく、蒸留機の種類です。連続式蒸留機で何度も蒸留を重ねるのが甲類で、原料の香りはほとんど残らず、すっきりした味になります。酒税法では三十六度未満。単式蒸留機で一回だけ蒸留するのが乙類で、芋や麦の香りがそのまま出ます。四十五度以下と決められ、本格焼酎と呼ばれるのはこちら。甲類はサワーや果実酒の土台に向き、乙類はそれ自体を味わう酒。用途が違うだけです。甲類と乙類を混ぜた混和焼酎もあり、その場合はどちらが多いかが表示されます。

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芋・麦・米で性格がここまで変わる

同じ本格焼酎でも原料で顔つきが変わります。芋焼酎は香りがふくよかで甘く、後からほのかな土の感じが残る。造る時期が限られるのは、生の芋を使うため収穫期に合わせて仕込むからです。麦焼酎は香ばしく軽やかで、焼酎を初めて飲む人に勧めやすい。米焼酎は甘く柔らかく、日本酒に近い印象を持つ人が多い。迷ったら、濃い料理には芋、揚げ物や塩気には麦、繊細な和食には米が合わせやすいです。ほかに黒糖や蕎麦、栗を使うものもあり、その土地で穫れる作物がそのまま原料になってきました。

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飲む数日前に割っておく

鹿児島などに前割りという飲み方があります。飲む数日前に焼酎を水で割り、そのまま置いておくだけ。割ってすぐだと酒と水が分かれているような角が残りますが、置くとなじんで口当たりが丸くなります。六対四や五対五が目安で、当日は冷やすか、黒ぢょかという酒器で温めて出します。手間はほとんどかからないのに味が変わるので、家に焼酎があるなら試す価値があります。まとめて作って冷蔵庫に置いておけます。作った日を瓶に書いておくと、置いた日数で味がどう動くかが自分の舌で分かります。

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お湯割りはお湯が先

お湯割りは、先にお湯を入れてから焼酎を注ぎます。逆にすると混ざりにくく、混ぜようとかき回すと香りが飛びます。お湯が下にあるところへ焼酎を静かに入れると、軽い焼酎が上へ動こうとして自然に対流が起き、マドラーなしでなじみます。お湯は沸かしたてより少し落ち着かせた七十度前後がよく、焼酎六にお湯四から始めて好みで調整を。湯気と一緒に香りが上がってくるので、まず一口飲む前に香りを確かめてみてください。湯呑みや陶器の器を使うと冷めにくく、最後まで同じ温度で飲み進められます。

九和九和

黒麹はクエン酸で酒を守る

焼酎造りでは麹の色が仕上がりを左右します。黒麹はクエン酸をたくさん出すため、もろみが酸性になって雑菌が増えにくい。温暖な土地で腐らせずに造るための知恵で、泡盛は黒麹だけを使います。味は濃くこくのある方向。白麹は黒麹から生まれた種類で、同じく酸を出しながら、仕上がりは柔らかく軽やか。黄麹は日本酒に使われるもので、華やかな香りが出るかわり管理が難しい。同じ芋でも麹が違えば別の酒になります。裏ラベルに麹の種類が書かれていることが多いので、好みが分かれば次の一本が選びやすくなります。

SHOCHU / SOJU / WORLD

同じ「焼酎」でも、四つに分けて考える

日本の本格焼酎は、麹で仕込んだ原料を発酵・単式蒸留し、原料や発酵の香りを楽しむ酒。甲類は連続式蒸留によるすっきりした酒質が特徴で、サワーにも使われます。韓国で広く親しまれる希釈式ソジュは、高純度の酒精を水などで調整するタイプ。甘味や果実風味の有無は商品ごとに異なります。一方、安東ソジュなどの蒸留式には、米や穀物を発酵・蒸留した伝統があります。日本対韓国だけでなく、製法同士で比べると違いが見えます。

海外へ届ける戦略の違い

JINROは通常品と果実風味品の両方で海外展開を進め、公式のGlobal Vision 2030では流通拡大やベトナム生産拠点の計画を説明しています。日本の本格焼酎は、JETROの発信で原料・麹・香味の多様さを前面に出しています。ここからの編集上の考察として、ソジュは親しみやすい飲用シーンと商品認知、本格焼酎は産地や造りの説明と飲食店での体験が入口になり得ます。どちらにもプレミアム品があり、「韓国は安さ、日本は品質」と単純化できません。

世界シェアと販売ランキングは別

確認できた公開資料では、日本の焼酎と韓国のソジュを同一年・同一酒種定義・同一数量単位で比較した世界シェア率は確認できていません。そのため、割合の円グラフは掲載していません。JINRO公式は2022年の世界販売を1億ケースと紹介していますが、これは一社のブランド販売であり、韓国全体のシェア率ではありません。日本の輸出額とこの世界販売数量を割り算して比較することもできません。比較には、国内販売を含むか、数量か金額か、希釈式や果実風味品を含むかを揃える必要があります。

Sources: JETRO · VISITKOREA · JINRO · Global Vision 2030 · JINRO · Sales history

AT THE TABLE · TAIWAN & BEYOND

食卓から、選んでみる。

料理写真はイメージです。組み合わせは味の特徴をもとにした提案で、銘柄や味付けによって印象は変わります。

鹽酥雞(台湾の唐揚げ)
Josh Eleazar · Pexels · License

鹽酥雞(台湾の唐揚げ)

酒茵

胡椒や九層塔の香る鹽酥雞には、麦焼酎の炭酸割りを。焙煎香を衣の香ばしさに重ね、無糖の炭酸で軽く仕上げる。芋の香りが好きなら芋焼酎でも比べてみて。

滷肉飯(ルーローハン)
kawanet · CC BY 2.0 · Crop: Roy17; display crop · License

滷肉飯(ルーローハン)

酒茵

コクのある芋焼酎をお湯割りにして、豚肉の旨味と合わせる提案。香りが強すぎると感じたら水割りへ。酒も料理も濃くするのではなく、割り方で釣り合いを取ろう。