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07 / WHISKY

ウイスキー

九和九和

樽、麦芽、煙の香り……。一杯の中がずいぶん賑やかですね。

酒茵酒茵

「一つの蒸留所」という意味だよ。一つの樽だけならシングルカスク。煙の香りと樽の甘い香りも分けて探すと、好みが見つかりやすいね。

甘さの見方
樽由来の甘い香りと糖分は別
飲み方の入口
少量の加水やハイボールから

一杯を選ぶ、6つの手がかり

香り・口当たり・飲み方から、好みの一杯を探してみましょう。

度数

40–60%前後(樽出しは例外あり)

選ぶ一本の度数はラベルで確認。割る場合は、使う量と割り材も合わせて考えます。

甘さ

辛口甘口

樽の甘い香りと糖分は別

甘い香りと糖分は別の手がかり。見た目の色だけでも甘さは決まりません。

酸味

穏やか鮮明

通常は主役になりにくい

原酒の酸味と、果汁や割り材が加える酸味を分けて見ます。

香り

穀物・樽・果実・煙

感じる香りを言葉にするヒント。絵の素材がすべての商品に入っているわけではありません。

口当たり

軽快ふくよか

軽い〜厚い

さらりとした後口か、ふくよかな厚みか。温度や割り方でも印象が変わります。

飲み方

加水・ハイボールで強さを調整

まずは商品に合う飲み方から。温度や加水を少しずつ変えて比べましょう。

横帯は味わいを比べる軸です。特定の銘柄の点数や位置を示すものではありません。

THE DETAILS

造りと味わいを知る

記録から、世界の食卓へ

スコットランドには1494年の会計記録に麦芽を使った蒸留の記載があり、ウイスキー史の重要な手がかりになっています。ただし、これを世界最初のウイスキーの誕生日と断定することはできません。その後、蒸留設備や税制、樽貯蔵、ブレンディングの発展を通じて市場が広がり、現在はアイルランド、米国、日本、台湾などにも多様な造りがあります。

穀物、発酵、蒸留、そして樽

麦芽やその他の穀物を使い、糖化、発酵、蒸留を経て樽で熟成します。香りは樽だけが作るのではなく、発酵や蒸留の段階ですでに土台が生まれています。樽の種類、以前入っていた酒、保管環境が、その土台に変化を重ねます。ピートの煙の香りもすべてにあるわけではなく、燻煙した麦芽を使うかどうかなどで違いが出ます。

シングルモルトとブレンデッドを対等に

スコッチのシングルモルトは、一つの蒸留所で麦芽を原料に造るスタイルです。ブレンデッドは原酒を組み合わせ、目指す味を設計します。単一であることと優れていることは同義ではなく、ブレンドには香りや口当たりを整える技術があります。年数表示も単純な点数ではありません。まずは果実、穀物、樽、煙のどれが好きかを知ると選びやすくなります。

加水で見える香りを試す

少量をそのまま香り、数滴の水を加えてもう一度確かめると、香りの印象が変わる場合があります。食中ならハイボールにして、揚げ物や焼き物と合わせるのも楽しみ方の一つです。濃い色だから濃厚、長期熟成だから好みに合う、と決めつけず、原料と樽と実際の味を結びつけてみましょう。比較するときはグラスや量を揃え、無理に飲み切る必要はありません。

参考資料: SWA · Story of Scotch · SWA · Whisky categories

九和九和

樽熟成・カスクストレングス

酒茵酒茵

樽は香りや色、口当たりに影響します。カスクストレングスは加水調整をしない、または抑えた樽出しに近い度数の表記。具体的な度数を確認します。

九和九和

バーボンの法律が世界の樽を回している

ウイスキーの色と香りの多くは樽から来ます。よく使われるのはバーボン樽とシェリー樽。バーボンは内側を焦がした新しいオーク樽を使うことが米国の規則で決まっているため、一度使った樽が大量に余り、それが世界中の蒸溜所へ渡ります。バーボン樽はバニラや蜂蜜のような甘い香り、シェリー樽はレーズンやナッツのような濃い香りが出やすい。日本ではミズナラの樽も使われ、白檀に似た香りが出ると言われます。同じ原酒でも入れる樽を変えれば別の酒になるので、樽違いの飲み比べは分かりやすい入口です。

九和九和

シングルモルトの「シングル」は樽一本ではない

シングルモルトのシングルは、ひとつの蒸溜所という意味です。中身は同じ蒸溜所の何十樽ものモルト原酒を混ぜて味を整えたもので、樽一本だけではありません。樽一本から瓶詰めしたものはシングルカスクと呼び、別の表示になります。ブレンデッドは複数の蒸溜所のモルトに、とうもろこしなどから造るグレーンを合わせたもの。個性の強いモルトをグレーンがまとめるので、飲みやすく価格も抑えやすい。どちらが上という話ではありません。

九和九和

数滴の水で香りが変わる

度数の高いウイスキーは、そのままだとアルコールの刺激が鼻に立ち、その奥にある香りが分かりにくくなります。水を数滴落として度数を下げると、刺激がやわらぎ、隠れていた果実や穀物の香りが感じ取りやすくなります。バーでチェイサーとは別に小さな水差しが出てくるのはこのため。入れすぎると味が薄くぼやけるので、まずは数滴、香りを確かめてからもう数滴という順で。氷を入れるのも同じ働きですが、冷えると香りは出にくくなります。

九和九和

ハイボールは混ぜる回数で決まる

家でハイボールを作るなら、順番を守るだけで味が変わります。グラスに氷をいっぱいまで入れ、一度かき混ぜて冷やし、溶けた水を捨てる。ウイスキーを注ぎ、ここでもう一度だけ軽く混ぜて酒も冷やす。よく冷えた炭酸水を氷に当てないよう静かに注ぎ、最後はマドラーを底まで入れて一回だけ持ち上げる。炭酸は混ぜるほど抜けるので、回数は少ないほどよい。ぬるい炭酸水を使うとここまでの手間が台無しになります。レモンを添えるなら、最後に皮をひとひねりして油を落とす程度で十分です。

九和九和

毎年少しずつ消えていく

樽は木でできているので完全には密閉されず、中身が少しずつ蒸発していきます。この減った分を天使の分け前と呼びます。スコットランドでは年に二%前後が目安と言われ、十年寝かせれば二割近くが消える計算です。暑く乾いた土地ではもっと速く減ります。残った酒は樽の成分をより濃く受け取り、味が深くなっていく。長期熟成が高いのは、時間だけでなく、消えた分もまとめて値段に入っているからです。熟成庫に入ると甘い香りが立ちこめているのは、この消えた分が空気中に出ているからです。

04 / ウイスキー5大産地

ウイスキー5大産地

同じウイスキーでも、場所が変われば別の飲みものです。

ウイスキー5大産地と、近年の台湾

産地名を押すと説明へ移動します。地図の点は各産地の代表位置です。

Map data: Natural Earth · Public domain

スコットランド

九和九和

大麦麦芽だけを使うモルトと、穀物を連続式で蒸留するグレーンがあり、両方を混ぜたブレンデッドが生産の中心です。スコッチウイスキーは、スコットランドで蒸留し、容量700リットル以下のオーク樽でスコットランド国内において3年以上熟成させることが法律で定められています。地域ごとの性格に加え、樽の種類とピートの使い方が味を大きく左右します。

酒茵酒茵

アイラ、スペイサイド、ハイランド、ローランド、キャンベルタウン

アイルランド

九和九和

全体に口当たりがなめらかで、穀物の甘さと熟した果実の香りが出るものが多く見られます。アイリッシュウイスキーは地理的表示として保護され、技術要件のなかでアイルランド島内での3年以上の熟成が定められています。ピートを使う蒸留所は限られており、煙の香りは主役ではありません。

酒茵酒茵

シングルポットスチル、三回蒸留

アメリカ

九和九和

内側を焦がした新品の樽を使うため、バニラ、カラメル、焦げた木の香りがはっきり出ます。連邦規則では、バーボンは原料の51%以上がとうもろこしで、蒸留はアルコール分80度以下、樽詰めは62.5度以下と定められています。ケンタッキー州とテネシー州が中心ですが、近年は各州に小規模な蒸留所が増えました。

酒茵酒茵

バーボン、ライ、テネシー

カナダ

九和九和

全体に軽くなめらかで、香辛料のような風味とやわらかい甘さが同居します。連邦規則では、カナダ国内で糖化・発酵・蒸留し、容量700リットル以下の木樽でカナダ国内において3年以上熟成させることが求められています。原酒を穀物ごとに造り分けてから組み合わせるため、仕上がりの幅を取りやすいのが特徴です。

酒茵酒茵

ライの呼び名、原酒を分けて造る

日本

九和九和

スコットランドの造り方を土台にしながら、樽の選び方と気候の差で独自の性格が育ちました。酒税法にウイスキーの定義が置かれているほか、2021年からは業界団体が定めた「ジャパニーズウイスキー」の表示に関する自主基準が運用されています。全体にまとまりがよく、香りの出方が穏やかなものが多く見られます。

酒茵酒茵

気候の幅、小規模な造り手、ミズナラ樽

台湾

九和九和

5大産地には数えられませんが、近年は国際的な品評会で評価される機会が増えました。高温多湿の気候のもとで熟成が速く進むため、年数が若くても色が濃く、熟した果実や甘い香りが強く出ます。そのぶん樽から失われる量も多く、造り手にとっては負担の大きい環境でもあります。

酒茵酒茵

熟成が速い、天使の分け前が大きい、造り手

図はすべて和飲九九が作成しました。写真を使用している場合は各写真の出典を併記しています。

AT THE TABLE

食卓から、選んでみる。

和・洋・中を6品ずつ。いつものおかずから、買って盛るだけのつまみ、甘いものまで。料理と飲み方を選びながら、気になる組み合わせをお試しください。

冷凍枝豆、惣菜の焼き鳥、袋入りの米菓からでも。チーズや台湾の茶葉蛋など、いつもと違うつまみもお試しください。

洋食・気軽なつまみ 6品

チーズの盛り合わせ

身近なカマンベールやゴーダで。熟成の強さを変えると違う組み合わせになります。

合わせる一杯樽香のあるウイスキーに加水

料理の旨味や脂の厚みに、香りのある一杯を少量ずつ。強く感じたら温度や濃さを調整します。

素焼きミックスナッツ

無塩のアーモンドやくるみから。焙煎香を楽しみ、香料の強いものは後から。

合わせる一杯樽香のあるウイスキーに加水

焼き目や焙煎の香ばしさに、飲み物の香りを重ねてみます。焦げや塩味が強すぎないものから。

ローストチキン

スーパーの惣菜でも。ハーブや焼き目を生かし、ソースは少なめに。

合わせる一杯樽香のあるウイスキーに加水

焼き目や焙煎の香ばしさに、飲み物の香りを重ねてみます。焦げや塩味が強すぎないものから。

ポテトチップス

うす塩味ならすぐに用意できます。濃い調味粉より、じゃがいもの香ばしさを軸に。

合わせる一杯軽めのハイボール

衣や油のコクに、すっきりした飲み口を合わせる提案。辛いソースは別添えにすると比べやすくなります。

オリーブ

瓶詰めやパック入りを小皿へ。塩気が強ければ軽く水を切って少量ずつ。

合わせる一杯軽めのハイボール

青い香りや塩気を、軽やかな飲み口と合わせる提案です。酸味の強い調味料は少なめから。

ダークチョコレート

個包装でも板チョコでも。カカオの苦味が強すぎないものから一かけずつ。

合わせる一杯甘い樽香のウイスキーを少量

食後の小さな組み合わせ。甘いものを一口、飲み物を一口と交互に試し、苦味が立ちすぎないか確かめます。

和食 6品

枝豆

冷凍でも手軽。豆の甘みを残すよう、塩は控えめに。

合わせる一杯軽めのハイボール

青い香りや塩気を、軽やかな飲み口と合わせる提案です。酸味の強い調味料は少なめから。

冷ややっこ

豆腐にねぎと生姜を少し。醤油をかけすぎず、豆の風味を楽しみます。

合わせる一杯軽めのハイボール

穏やかな旨味を生かす組み合わせ。飲み物を少量ずつ口に含み、繊細な味が残る濃さを探します。

焼き鳥

惣菜でも。塩なら軽やかに、たれなら香ばしさと甘辛さを軸に。

合わせる一杯樽香のあるウイスキーに加水

焼き目や焙煎の香ばしさに、飲み物の香りを重ねてみます。焦げや塩味が強すぎないものから。

せんべい・あられ

袋から器に盛るだけ。まずは醤油味や塩味で、香ばしさを比べます。

合わせる一杯樽香のあるウイスキーに加水

焼き目や焙煎の香ばしさに、飲み物の香りを重ねてみます。焦げや塩味が強すぎないものから。

野菜の天ぷら

かぼちゃ・なす・ピーマンなど。天つゆより塩で合わせると味を見やすく。

合わせる一杯軽めのハイボール

衣や油のコクに、すっきりした飲み口を合わせる提案。辛いソースは別添えにすると比べやすくなります。

みたらし団子

甘辛いたれと焼き目が入口。食後の一串と少量の一杯を。

合わせる一杯甘い樽香のウイスキーを少量

食後の小さな組み合わせ。甘いものを一口、飲み物を一口と交互に試し、苦味が立ちすぎないか確かめます。

中華・台湾 6品

水餃子

冷凍品でも。皮と肉の旨味を生かし、酢や辣油は少しずつ足します。

合わせる一杯軽めのハイボール

穏やかな旨味を生かす組み合わせ。飲み物を少量ずつ口に含み、繊細な味が残る濃さを探します。

鹽酥雞(台湾の唐揚げ)

胡椒とバジルが香る一皿。入手しにくければ鶏の唐揚げに胡椒を少し。

合わせる一杯軽めのハイボール

衣や油のコクに、すっきりした飲み口を合わせる提案。辛いソースは別添えにすると比べやすくなります。

滷肉飯(ルーローハン)

豚肉の甘辛い煮込みをご飯に。八角やたれの強さで飲み方を調整します。

合わせる一杯樽香のあるウイスキーに加水

料理の旨味や脂の厚みに、香りのある一杯を少量ずつ。強く感じたら温度や濃さを調整します。

たたききゅうり

きゅうりをたたき、塩とごま油を少し。にんにくや酢は控えめから。

合わせる一杯軽めのハイボール

青い香りや塩気を、軽やかな飲み口と合わせる提案です。酸味の強い調味料は少なめから。

茶葉蛋(台湾の茶煮卵)

お茶と醤油で煮た卵。手に入らなければ市販の味付け卵でも楽しめます。

合わせる一杯樽香のあるウイスキーに加水

料理の旨味や脂の厚みに、香りのある一杯を少量ずつ。強く感じたら温度や濃さを調整します。

ごま団子

冷凍や惣菜のごま団子でも。ごまの香りとあんの甘さを食後に。

合わせる一杯甘い樽香のウイスキーを少量

食後の小さな組み合わせ。甘いものを一口、飲み物を一口と交互に試し、苦味が立ちすぎないか確かめます。

絵は料理のイメージです。味付けやお酒のタイプによって相性は変わります。