九和精米歩合60%は「6割削った」ではない
ラベルの「精米歩合60%」は、6割削ったという意味ではありません。逆で、残っているのが60%、つまり外側の40%を削り落としています。米粒の中心にはでんぷんが多く、外側にはたんぱく質や脂質が多い。外側が残るほど雑味が出やすいので、香りをきれいに出したい酒ほど深く磨きます。吟醸は60%以下、大吟醸は50%以下と決まっています。ただし磨けば磨くほど米は減り、手間も増えて値段は上がります。よく磨いた酒がいつも好みに合うとはかぎりません。
LEARN / お酒の読みもの
難しい話は後まわし。まずは「へえ」と言える話から。九和と酒茵が案内します。
01 / 豆知識
九和ラベルの「精米歩合60%」は、6割削ったという意味ではありません。逆で、残っているのが60%、つまり外側の40%を削り落としています。米粒の中心にはでんぷんが多く、外側にはたんぱく質や脂質が多い。外側が残るほど雑味が出やすいので、香りをきれいに出したい酒ほど深く磨きます。吟醸は60%以下、大吟醸は50%以下と決まっています。ただし磨けば磨くほど米は減り、手間も増えて値段は上がります。よく磨いた酒がいつも好みに合うとはかぎりません。
九和純米酒は米と米麹と水だけで造ります。本醸造酒はそこに醸造アルコールを少し加えたもの。量を増やすためだと思われがちですが、加えられる量は白米の重さの10%までと決まっていて、狙いは味の設計です。香りの成分はアルコールに溶けやすいため、少し加えると香りが立ち、後口が軽く締まります。一方で純米は米の旨みがのりやすく、燗にするとふくらむものが多い。上下ではなく性格の違いなので、合わせる料理と温度で選ぶのが早道です。
九和多くの日本酒は、貯蔵する前と出荷する前の二回、60度台に温める火入れをします。酵素の働きを止め、味が動きすぎないようにするためです。この火入れを一度もしないのが生酒。搾りたての瑞々しさが残るかわり、冷蔵が要ります。貯蔵前に一度だけ火入れし、出荷時はしないのが生詰め。逆に生のまま貯蔵して出荷時に一度だけ火入れするのが生貯蔵酒です。似た名前ですが中身の工程は別物。買う前にラベルを一度見てください。生酒は温度が上がると味が変わりやすいので、買ったらその日のうちに冷蔵庫へ入れてください。
九和燗には五度きざみで名前がついています。三十度前後が日向燗、三十五度が人肌燗、四十度がぬる燗、四十五度が上燗、五十度があつ燗、五十五度あたりが飛びきり燗。体温に近いほど米の甘みがふくらみ、熱くすると香りが立って後口が切れます。ややこしいのは「冷や」で、これは冷蔵した酒ではなく常温のこと。冷やして飲むときは「冷酒」と言います。居酒屋で冷やと頼んで常温が出てきても、間違いではありません。熱すぎると香りが荒く立つので、酒器は湯から上げたあと少し置いてから注ぐと落ち着きます。
九和裏ラベルの日本酒度は、糖が多いほど重くなる性質を使った比重の目安です。プラスなら辛口寄り、マイナスなら甘口寄り。ただしこれだけでは決まりません。隣にある酸度が高いと、同じ日本酒度でもきりっと辛く感じ、低いとまろやかに甘く感じます。日本酒度プラス五で酸度が低い酒より、プラス三で酸度が高い酒のほうが辛く感じることもあります。二つの数字は組み合わせで読むもの、と覚えておくと選びやすくなります。そもそも数値を載せていない蔵も多く、その場合は裏の説明文の言葉が手がかりになります。
九和ぶどうはそのまま搾れば糖があるので、酵母がすぐアルコールに変えられます。米にあるのはでんぷんで、そのままでは酵母の餌になりません。そこで麹菌に米のでんぷんを糖へ変えてもらい、同じタンクの中で酵母がその糖をアルコールに変えていきます。糖化と発酵が同時に進むこのやり方を並行複発酵と呼び、ビールのように工程を分ける造りとは違います。おかげで醸造酒としては珍しく、もろみの中で二十度近くまで上がります。この二つの働きの速さをそろえるのが難しく、温度の管理が造りの山場になります。
九和焼酎の甲類乙類は品質の等級ではなく、蒸留機の種類です。連続式蒸留機で何度も蒸留を重ねるのが甲類で、原料の香りはほとんど残らず、すっきりした味になります。酒税法では三十六度未満。単式蒸留機で一回だけ蒸留するのが乙類で、芋や麦の香りがそのまま出ます。四十五度以下と決められ、本格焼酎と呼ばれるのはこちら。甲類はサワーや果実酒の土台に向き、乙類はそれ自体を味わう酒。用途が違うだけです。甲類と乙類を混ぜた混和焼酎もあり、その場合はどちらが多いかが表示されます。
九和同じ本格焼酎でも原料で顔つきが変わります。芋焼酎は香りがふくよかで甘く、後からほのかな土の感じが残る。造る時期が限られるのは、生の芋を使うため収穫期に合わせて仕込むからです。麦焼酎は香ばしく軽やかで、焼酎を初めて飲む人に勧めやすい。米焼酎は甘く柔らかく、日本酒に近い印象を持つ人が多い。迷ったら、濃い料理には芋、揚げ物や塩気には麦、繊細な和食には米が合わせやすいです。ほかに黒糖や蕎麦、栗を使うものもあり、その土地で穫れる作物がそのまま原料になってきました。
九和鹿児島などに前割りという飲み方があります。飲む数日前に焼酎を水で割り、そのまま置いておくだけ。割ってすぐだと酒と水が分かれているような角が残りますが、置くとなじんで口当たりが丸くなります。六対四や五対五が目安で、当日は冷やすか、黒ぢょかという酒器で温めて出します。手間はほとんどかからないのに味が変わるので、家に焼酎があるなら試す価値があります。まとめて作って冷蔵庫に置いておけます。作った日を瓶に書いておくと、置いた日数で味がどう動くかが自分の舌で分かります。
九和お湯割りは、先にお湯を入れてから焼酎を注ぎます。逆にすると混ざりにくく、混ぜようとかき回すと香りが飛びます。お湯が下にあるところへ焼酎を静かに入れると、軽い焼酎が上へ動こうとして自然に対流が起き、マドラーなしでなじみます。お湯は沸かしたてより少し落ち着かせた七十度前後がよく、焼酎六にお湯四から始めて好みで調整を。湯気と一緒に香りが上がってくるので、まず一口飲む前に香りを確かめてみてください。湯呑みや陶器の器を使うと冷めにくく、最後まで同じ温度で飲み進められます。
酒茵焼酎造りでは麹の色が仕上がりを左右します。黒麹はクエン酸をたくさん出すため、もろみが酸性になって雑菌が増えにくい。温暖な土地で腐らせずに造るための知恵で、泡盛は黒麹だけを使います。味は濃くこくのある方向。白麹は黒麹から生まれた種類で、同じく酸を出しながら、仕上がりは柔らかく軽やか。黄麹は日本酒に使われるもので、華やかな香りが出るかわり管理が難しい。同じ芋でも麹が違えば別の酒になります。裏ラベルに麹の種類が書かれていることが多いので、好みが分かれば次の一本が選びやすくなります。
九和ウイスキーの色と香りの多くは樽から来ます。よく使われるのはバーボン樽とシェリー樽。バーボンは内側を焦がした新しいオーク樽を使うことが米国の規則で決まっているため、一度使った樽が大量に余り、それが世界中の蒸溜所へ渡ります。バーボン樽はバニラや蜂蜜のような甘い香り、シェリー樽はレーズンやナッツのような濃い香りが出やすい。日本ではミズナラの樽も使われ、白檀に似た香りが出ると言われます。同じ原酒でも入れる樽を変えれば別の酒になるので、樽違いの飲み比べは分かりやすい入口です。
九和シングルモルトのシングルは、ひとつの蒸溜所という意味です。中身は同じ蒸溜所の何十樽ものモルト原酒を混ぜて味を整えたもので、樽一本だけではありません。樽一本から瓶詰めしたものはシングルカスクと呼び、別の表示になります。ブレンデッドは複数の蒸溜所のモルトに、とうもろこしなどから造るグレーンを合わせたもの。個性の強いモルトをグレーンがまとめるので、飲みやすく価格も抑えやすい。どちらが上という話ではありません。
九和度数の高いウイスキーは、そのままだとアルコールの刺激が鼻に立ち、その奥にある香りが分かりにくくなります。水を数滴落として度数を下げると、刺激がやわらぎ、隠れていた果実や穀物の香りが感じ取りやすくなります。バーでチェイサーとは別に小さな水差しが出てくるのはこのため。入れすぎると味が薄くぼやけるので、まずは数滴、香りを確かめてからもう数滴という順で。氷を入れるのも同じ働きですが、冷えると香りは出にくくなります。
酒茵家でハイボールを作るなら、順番を守るだけで味が変わります。グラスに氷をいっぱいまで入れ、一度かき混ぜて冷やし、溶けた水を捨てる。ウイスキーを注ぎ、ここでもう一度だけ軽く混ぜて酒も冷やす。よく冷えた炭酸水を氷に当てないよう静かに注ぎ、最後はマドラーを底まで入れて一回だけ持ち上げる。炭酸は混ぜるほど抜けるので、回数は少ないほどよい。ぬるい炭酸水を使うとここまでの手間が台無しになります。レモンを添えるなら、最後に皮をひとひねりして油を落とす程度で十分です。
九和樽は木でできているので完全には密閉されず、中身が少しずつ蒸発していきます。この減った分を天使の分け前と呼びます。スコットランドでは年に二%前後が目安と言われ、十年寝かせれば二割近くが消える計算です。暑く乾いた土地ではもっと速く減ります。残った酒は樽の成分をより濃く受け取り、味が深くなっていく。長期熟成が高いのは、時間だけでなく、消えた分もまとめて値段に入っているからです。熟成庫に入ると甘い香りが立ちこめているのは、この消えた分が空気中に出ているからです。
酒茵ジンは、蒸留した酒に植物の香りを移して造ります。この植物をボタニカルと呼び、使う種類と量の組み合わせが銘柄の個性そのものです。定番はコリアンダーシード、アンゼリカの根、レモンやオレンジの皮、カルダモンなど。十種類前後のものもあれば、四十種類を超えるものもあります。香りの移し方も、酒に漬け込んでから蒸留する方法と、蒸気を植物の上に通す方法があり、同じ材料でも仕上がりが変わります。配合を公開していない銘柄も多く、何が入っているか当てながら飲むのも楽しみ方のひとつです。
酒茵ジンと名乗るには、杜松の実、いわゆるジュニパーベリーの香りが主役でなければならないと決められています。何を足しても構いませんが、これだけは外せない。そしてこの実、名前はベリーでも植物としては果実ではなく、松ぼっくりの仲間にあたる球果です。鱗が閉じて丸く見えるので実のような姿になっています。軽くつぶすと針葉樹の林のような清涼な香りがして、これがジンをジンにしている正体です。料理では肉の匂いをやわらげる香辛料として使われるもので、香りの役目は酒でも変わりません。
酒茵ロンドンドライジンは産地名ではなく造り方の呼び名です。世界のどこで造ってもこの名前を使えます。条件は、香りづけを蒸留の工程で行うこと。つまり蒸留した後から香料や色を足してはいけません。甘みもごくわずかしか認められていません。だから後から足せない分、材料の選び方と蒸留の腕がそのまま味に出ます。ラベルにこの言葉があれば、後から手を加えていない、輪郭のはっきりした味だと見当がつきます。同じ表示でも銘柄ごとの差は大きいので、ひとくくりにしないほうが面白く飲めます。
酒茵小さな蒸溜所が地元の植物でジンを造る流れが、ここ十数年で世界に広がりました。日本では柚子や山椒、緑茶や檜。台湾では茘枝や台湾茶、柑橘の皮などが使われます。杜松の香りを軸にしながら、あとは土地の材料で自由に組み立てられるのがジンの面白いところ。ウイスキーのように長い熟成が要らないので、小さな蒸溜所でも造りはじめやすく、それが種類の多さにつながっています。銘柄ごとの差が大きいので、飲み比べが楽しい酒です。
九和同じ梅でも、堅い青梅で漬けるとすっきりした酸味と澄んだ味に、黄色く熟した梅で漬けると香りが甘く、とろりとした口当たりになります。青梅は果肉がしっかりしているので形も崩れにくく、長く漬けても濁りにくい。完熟梅は皮が薄く柔らかいため、香りは豊かに出ますが濁りやすく、扱いに気を使います。市販の梅酒でも造りの違いはそのまま味に出るので、酸味が欲しいか香りが欲しいかで選ぶと外しません。青梅を一晩水に浸けてあく抜きをするのは、この酸味をきれいに出すためです。
九和梅酒に氷砂糖を使うのは、甘さのためだけではありません。粉の砂糖を入れると最初から糖の濃度が高くなり、梅から水分だけが強く引き出されて実がしぼみ、中の香りが十分に出ないまま終わってしまいます。氷砂糖は塊が大きく、下に沈んでゆっくり溶けるので、濃度が少しずつ上がる。梅は時間をかけて水分と香りを出し、かわりに酒が実の中へ入っていきます。急がない砂糖だから選ばれている、というわけです。砂糖を何回かに分けて足していく造り方もあり、甘さを抑えたいときに使われます。
酒茵リキュールというと甘い酒の総称のように聞こえますが、日本の酒税法では中身で決まっています。酒類に糖類や果実、香草などを加えたもので、エキス分が二度以上あるもの。エキス分とは、水とアルコールを除いて残る成分の量です。つまり甘い印象かどうかではなく、溶けているものの量で線が引かれている。梅酒も果実のリキュールにあたります。缶入りの果実の酒がリキュール表示になっているのは、この定義のためです。同じ材料でもエキス分が足りなければ別の分類になり、税率も表示も変わります。
九和日本では、自分で飲むための梅酒を家で漬けることが認められています。ただし条件があり、使う酒はアルコール分二十度以上で、酒税が納められたものであること。ホワイトリカーがよく使われるのは、度数が高くて香りが穏やかだからです。度数が低いと発酵が起きてしまう恐れがあるため、この線が引かれています。もうひとつ、ぶどうや米、麦などは漬け込みに使えません。そして、漬けたものを売ることはできません。瓶は熱湯か度数の高い酒で消毒し、水気をよく拭いてから使うと失敗が減ります。
酒茵グラッパの原料はワインではなく、ワインを造るときに残るぶどうの搾りかすです。皮と種、ときに果梗を集め、それを蒸留して造ります。捨てる部分を酒に変える、農家の知恵から始まった蒸留酒です。搾りかすには果肉の汁がわずかしか残っていないので、集めるのに手間がかかり、鮮度も落ちやすい。だから搾ってすぐ蒸留所へ運びます。名前の使い方も決まっていて、イタリアで造られたものだけがグラッパを名乗れます。同じ考え方の酒は各地にあり、フランスではマール、スペインではオルホと呼ばれています。
酒茵イタリア北部のバールで、エスプレッソに少量のグラッパを落としたものをカフェ・コレットと言います。コレットは直したという意味。何を直すのかは人によって言い分が違いますが、寒い朝にひと口で体が温まる飲み方として定着しています。グラッパのほかにサンブーカやブランデーを使うこともあります。飲み終えたカップに少しグラッパを注いで残った香りごと飲むやり方もあり、こちらはレゼンティンと呼ばれます。冬の朝、立ち飲みのカウンターで数十秒で飲み干していく人が多い一杯でもあります。
酒茵ワインの熟成に使うバリックは二百二十五リットルの小さな樽です。大樽に比べて中身に対して木と触れる面が広く、そのぶん木の香りや成分が早く強く出ます。新しい樽ならバニラや焦がしたような香りがはっきり乗り、二回目三回目と使ううちに落ち着いていく。だから造り手は新樽の割合を決めて味を組み立てます。グラッパにも樽で寝かせたものがあり、透明なものと違って琥珀色になり、香りも丸くなります。木の香りが強すぎると果実の香りが隠れてしまうので、加減が造り手の腕の見せどころです。
酒茵開けたワインから濡れた段ボールやかびた木のようなにおいがして、果実の香りがほとんど感じられないことがあります。これはブショネと呼ばれる状態で、コルクに由来するごく微量の成分が原因と考えられています。味が腐っているわけではなく、香りが消されてしまうのが特徴です。造り手にも店にも落ち度はなく、レストランでは伝えれば交換してもらえるのがふつう。抜栓のとき、コルクを軽く嗅ぐ習慣があるのはこのためです。スクリューキャップの瓶が増えたのは、この問題を避けられるという理由も大きいのです。
酒茵蜂蜜酒はしばしば世界最古の酒と言われます。断定はできませんが、そう言われるのには理由があります。ぶどうの栽培も穀物の加工も要らず、蜂蜜が雨水で薄まれば、空気中の酵母によって発酵が始まることがある。つまり人が技術を持つ前から、偶然できていた可能性が高いということです。蜂蜜さえあれば道具もほとんど要りません。誰が最初に造ったかは分かりませんが、最も手前にあった酒だとは言えそうです。ただし古い記録に出てくる蜂蜜の酒が、今のものと同じ造りだったかまでは分かりません。
酒茵蜂蜜酒の材料はほぼ蜂蜜と水と酵母だけなので、どの花の蜜かがそのまま味になります。アカシアの蜜は色も味も淡く、すっきりした仕上がり。そばの蜜は濃い色で、糖蜜や土のような力強い香りが出ます。柑橘の花なら軽やかで爽やか、栗の花ならほろ苦さが残る。蜂蜜の段階で味の方向はほぼ決まっていて、造り手が足せるのは発酵の度合いと寝かせ方くらいです。飲み比べるなら、まず花の名前を見てください。蜂蜜は加熱すると香りが飛びやすいため、仕込みの温度にも気を使います。
酒茵新婚の一か月に蜂蜜酒を飲む習わしがあり、そこからハネムーンという言葉が生まれた、という話をよく聞きます。ただしこれは各地に伝わる言い伝えで、確かな裏づけがあるわけではありません。言葉の由来には別の説もあります。それでも、蜂蜜酒が祝いの席の酒として長く扱われてきたことは、各地の記録や物語からうかがえます。由来の真偽はさておき、贈り物に選ばれやすい酒であるのは今も変わりません。贈り物にするなら、飲みきりやすい小さめの瓶を選ぶと相手に負担がかかりません。
酒茵蜂蜜で造るのだから甘い酒だろうと思われがちですが、そうとはかぎりません。酵母が糖を食べ切るまで発酵させれば、甘さがほとんど残らない辛口になります。途中で発酵を止めれば糖が残って甘口に。同じ蜂蜜から、辛口も甘口も、炭酸を含んだものも造れます。辛口のものは白ワインのように食事に合わせやすく、甘口は食後に少しずつ。買うときはラベルの辛口甘口の表記を見ると、思っていた味との差が減ります。果実や香辛料を一緒に発酵させたものもあり、その場合はまた別の名前で呼ばれます。
酒茵高粱酒の高粱はソルガム、日本でいうもろこしの一種で、乾いた土地でもよく育つ穀物です。これを麹とともに発酵させ、蒸留して造ります。台湾では金門島のものがよく知られ、五十八度の一本が定番として売られています。度数が高いので、小さなグラスで少しずつ、料理と交互にいただくのがふつうの飲み方。台湾の宴席では乾杯の掛け声とともに出てくることが多く、香りは強く、後には意外と軽さが残ります。冷やしすぎず、室温より少し低いくらいが香りと飲みやすさの釣り合う温度です。
酒茵台湾では長らく酒とたばこが専売制で、政府の機関が製造と販売を握っていました。二千年代の初めに制度が終わり、その事業は台湾菸酒股份有限公司、英語の頭文字でTTLと呼ばれる会社に引き継がれます。米酒や高粱酒、台湾ビールといった定番はこの流れの上にあります。専売が終わったことで民間の酒造りが可能になり、小さな蒸溜所や醸造所が次々と生まれました。今の台湾の酒の多様さは、この転換のあとに育ったものです。紅ラベルの米酒は今も家庭の台所に置かれていて、料理酒としての役割も担っています。
酒茵ウイスキーの熟成は気温に大きく左右されます。暑いと樽の中で酒が木に出入りする動きが活発になり、寒い土地より短い年数で色も香りも進みます。そのかわり蒸発も多く、台湾では天使の分け前が年に一割を超えることもあると言われます。十年寝かせようとすると、かなりの量が消える計算です。厳しい条件ですが、そこで造られた台湾産のウイスキーは国際的な品評会でも評価されるようになり、若い年数でも濃い味が出るのが特徴です。
酒茵台湾で最もよく知られている蜂蜜は龍眼の花から採れるもので、こくがあり、焦がした砂糖に似た深い香りがあります。産地は中部から南部にかけて。花の時期は短く、その数週間に採蜜が集中します。この蜂蜜で造った蜂蜜酒は、色も味も濃く、北欧などで見かける淡い蜂蜜酒とはかなり印象が違います。台湾でも小規模な造り手が蜂蜜酒に取り組むようになり、地元の蜜を使った酒が少しずつ選べるようになってきました。同じ龍眼でも採れた年や場所で濃さが変わるため、造り手は蜜の仕入れから選び抜きます。
酒茵同じ量の氷でも、小さく砕いたものと大きな塊では溶ける速さが違います。細かい氷は表面の合計が広いので、酒に触れる面が多く、その分早く溶けて薄まります。大きな塊は冷やす力を保ったまま長くもつ。ロックで時間をかけて飲むなら大きい氷、短時間で飲み切るサワーなどは小さい氷、と使い分けると狙いどおりの濃さで飲めます。家の製氷皿の氷は小さく気泡も多いので、大きめの型を一つ買うと違いが出ます。氷を入れたら一度回して溶けた水を捨てるだけでも、最初の一口がしまります。
酒茵グラスの形は飾りではありません。胴がふくらんで口がすぼまった形は、中で立ちのぼった香りが上でいったんたまるので、鼻に届く量が増えます。ウイスキーや日本酒の香りをよく見たいときはこの形。口の広いグラスは香りが逃げやすいかわり、アルコールの刺激も抜けやすく、ハイボールや水割りのように量を飲むものに向きます。同じ酒を二つの形で飲み比べると、味まで違って感じられるので、一度試してみてください。薄いグラスは口当たりが軽く、厚いグラスは手の熱が伝わりにくいという違いもあります。
九和温度を下げると、香りの成分は立ちにくくなり、甘さも感じにくくなります。だから雑味を抑えてすっきり飲みたいときは冷やすのが効きます。逆に、香りや旨みをしっかり味わいたいなら少し温度を上げる。冷蔵庫から出してすぐより、数分置いてからのほうが開いてくることが多いのはこのためです。安いものを冷やすとおいしく感じる、というのも同じ理屈。決まりではなく調整の道具として、温度を使ってみてください。同じ一本を二日に分け、冷やした日と常温の日で比べてみると違いがよく分かります。
酒茵炭酸水を勢いよく氷にぶつけると、そこで泡が一気にはじけて炭酸が抜けます。グラスを少し傾け、内側の壁を伝わせるように静かに注ぐと、泡の抜けが少なくて済みます。炭酸水自体もよく冷やしておくこと。冷たい水のほうがガスを多く保てるので、ぬるいものを使うと注ぐ前に負けています。注いだあとの混ぜすぎも同じ理由でよくありません。泡が長くもつと、最後の一口まで口当たりが変わらずに飲めます。炭酸の量は酒一に対して三から四が目安で、濃さは氷の入れ方でも変わります。
02 / 日本酒と焼酎
名前の違いは、造り方の違いです。どこが違うと、味がどう変わるのか。
| 種類 | 決まりごと | 味わい | 楽しみ方 |
|---|---|---|---|
| 純米大吟醸 | 精米歩合50%以下。原料は米と米こうじと水だけで、醸造アルコールは加えません。こうじ米の使用割合は15%以上と決められています。 | 香りは澄んでいて、りんごや洋梨のような果実の印象が出ることが多いお酒です。味の線は細く、甘みは軽く乗って、飲んだあとは短く切れます。蔵ごとの違いは、味よりも香りの出方にあらわれます。 | 10〜15℃が扱いやすい温度です。口がすぼまったワイングラスだと香りをつかまえやすく、一度に注ぐ量は少なめにします。白身魚の刺身、出汁をきかせた椀物、生ハム、くせの少ないチーズと合います。温めると香りが荒れやすいので、燗には向きません。 |
| 大吟醸 | 精米歩合50%以下。米と米こうじと水に醸造アルコールを加えます。加えられる量は白米の重量の10%以下、こうじ米の使用割合は15%以上です。 | 純米大吟醸と同じ精米歩合ですが、醸造アルコールが入るぶん味の輪郭が締まり、後口が軽くなります。香りの高さは変わらず、甘みの残り方が少ないのが違いです。 | 10〜15℃。天ぷらを塩で、焼き魚、湯葉や豆腐など味の淡いものに合わせやすいお酒です。脂の多い料理のあとの口直しにもなります。 |
| 純米吟醸 | 精米歩合60%以下。原料は米と米こうじと水だけ。こうじ米の使用割合は15%以上で、吟醸造りをしたものです。 | 香りは大吟醸ほど高くなく、そのぶん米の味がはっきり出ます。酸と旨味に幅があるので、冷やしても常温でも形が崩れません。日本酒を飲みなれていない人に出しても外しにくいタイプです。 | 10〜15℃、常温でも。焼き魚、鶏の塩焼き、ごま和え、揚げ出し豆腐など、家庭の食事に幅広く合います。ぬる燗(40℃)にすると旨味が出るものもあります。 |
| 吟醸 | 精米歩合60%以下。米と米こうじと水に、白米の重量の10%以下の醸造アルコールを加えます。こうじ米の使用割合は15%以上です。 | 香りは中くらいから高め、味は軽くて後口が短いお酒です。食事の途中で重さを残したくないときに向きます。 | 10〜15℃。揚げ物、中華の炒めもの、餃子など、油を使った料理と合わせやすいお酒です。 |
| 特別純米 | 米と米こうじと水だけで造り、精米歩合60%以下、または特別な製造方法によるもの。特別な製造方法で名乗る場合は、その内容をラベルに説明表示する必要があります。こうじ米の使用割合は15%以上です。 | 純米より澄んでいて、純米吟醸より落ち着いた位置にあるお酒です。米の味は残しながら、飲み口は重くなりません。 | 常温からぬる燗(40℃)まで。煮物、豚の角煮、だし巻き卵など、味のついた和食に合わせやすいお酒です。 |
| 純米 | 米と米こうじと水だけで造ったお酒です。精米歩合の規定はありません(2003年の改正で「70%以下」の要件が削除され、2004年1月から施行されました)。こうじ米の使用割合は15%以上です。 | 米の旨味と酸が前に出るお酒です。冷たいと固く感じることがありますが、温度を上げると甘みと旨味が広がります。料理と合わせたときにいちばん力を出すタイプです。 | 常温から上燗(45℃)まで。煮物、味噌を使った料理、すき焼き、鍋もの。厚みのある陶器のぐい呑みだと温度が落ちにくく、燗にしたときに扱いやすくなります。 |
| 特別本醸造 | 米と米こうじと水に醸造アルコール(白米の重量の10%以下)を使い、精米歩合60%以下、または特別な製造方法によるもの。特別な製造方法で名乗る場合はラベルに説明表示が必要です。 | 軽くて後味が短く、温めても味が崩れにくいお酒です。毎日の食事に合わせる酒として作られてきた性格があります。 | 常温からぬる燗(40℃)。焼き鳥のタレ、天ぷら、揚げ出し、干物。 |
| 本醸造 | 精米歩合70%以下。米と米こうじと水に、白米の重量の10%以下の醸造アルコールを加えます。こうじ米の使用割合は15%以上です。 | 軽快で辛口に寄るお酒が多い区分です。香りは控えめで、食事の邪魔をしません。燗にすると香りが立ち、味がふくらみます。 | ぬる燗(40℃)から上燗(45℃)が持ち味の出る温度です。おでん、煮魚、漬物、焼き鳥。徳利で温めて、小さい杯で少しずつ。 |
| 生酒・生詰酒・生貯蔵酒・火入れ | 火入れは清酒を60〜65℃に加熱して殺菌する工程で、ふつうは貯蔵前と出荷前の2回行います。「生酒」は製成後に一切加熱処理をしないもの、「生貯蔵酒」は加熱処理をせずに貯蔵し、出荷の際に加熱処理したもので、どちらも清酒の製法品質表示基準に定義があります。出荷のときだけ火入れをしない「生詰酒」は、この表示基準には定義がなく、業界で使われている呼び名です。 | 生酒は香りが若く、口当たりが軽く、炭酸のような刺激を感じることもあります。そのぶん温度と時間で味が変わりやすいお酒です。二回火入れをしたものは味が安定していて、温度を上げても形が崩れません。 | 生酒は冷蔵庫で5〜10℃に保ち、開栓後は数日のうちに飲みきります。火入れをしたものは常温保存ができ、冷やしても燗にしても楽しめます。秋に出る「ひやおろし」は、冬から春に造って火入れし貯蔵した酒を、秋の外気温と蔵の温度が近づくころに出荷したものです。 |
| にごり酒・おりがらみ | 酒税法の清酒の定義には「こす」工程が入っています。にごり酒は、しぼるときに目の粗い網や布でこして、白く濁ったまま瓶に詰めたものです。おりがらみは、こしたあとに沈む「おり」を引ききらずに残したもので、表示基準の用語ではありません。発酵がわずかに続いてガスを含むものは活性清酒と呼ばれ、酒質を安定させるために火入れをしたものが多くあります。 | 米の粒子が残るので口当たりが厚く、甘みを強く感じます。上澄みと濁りの部分では味が違うので、混ぜる前と後で飲みくらべができます。活性タイプは軽く泡立ちます。 | 5〜10℃。活性タイプは瓶の中に圧力があるので、立てて冷やし、栓を少しずつ開けて空気を抜きながら開栓します。鍋もの、唐揚げ、豆板醤や花椒を使った辛い料理と合わせやすいお酒です。 |
| 原酒 | 製成後に水を加えてアルコール分などを調整していない清酒に表示できます。ただし仕込みごとに少し違うアルコール分をそろえるため、アルコール分1%未満の範囲で加水することは認められています。 | 加水していないぶんアルコール分が高めで、味が濃く、口の中に残る時間が長いお酒です。少量で満足しやすく、氷を入れても薄まりすぎません。 | 5〜15℃、または氷を1個入れて。小さいグラスに少しずつ注ぎます。味の濃い料理、チーズ、ナッツ、脂の多い肉と合います。炭酸水で割ってもよく、割合を変えて好みの濃さを探せます。 |
| 古酒・熟成酒 | 清酒の製法品質表示基準には「貯蔵年数」の任意記載があり、1年以上貯蔵した清酒に、1年未満を切り捨てた年数を表示できます。「古酒」そのものはこの基準の用語ではなく、一般には前の酒造年度より前に造った酒を指します。長期熟成酒研究会は「熟成古酒」を、満3年以上蔵元で熟成させた日本酒と定めています。 | 時間が経つほど色が濃くなり、黄色から琥珀色に近づきます。カラメル、干し果物、ナッツ、乾いたきのこのような香りが出て、甘みと苦味に厚みが出ます。新酒とはまったく違う飲みものだと思ったほうがわかりやすいお酒です。 | 常温からぬる燗(40℃)。小さめのグラスや猪口で少しずつ。醤油で煮込んだ料理、鰻の蒲焼、豚の角煮、熟成したチーズ、カカオ分の高いチョコレートと合います。食後に単独で飲んでもまとまります。 |
| スパークリング清酒 | 清酒の製法品質表示基準の任意記載事項に「スパークリング」の定義はありません。実際には、瓶の中で二次発酵させるもの、発酵中の炭酸ガスを残したもの(活性にごり)、炭酸ガスを加えたものがあります。awa酒協会は、米と米こうじと水だけを使い、二次発酵による自然な発泡を持ち、外観が透明なものを、第三者機関の検査を経て「AWA SAKE」として認定しています。 | アルコール分が低めのものが多く、甘みと酸のはっきりした飲み口です。瓶内二次発酵のものは泡が細かく続き、炭酸ガスを加えたものは泡が大きく早く抜けます。 | 5〜10℃。フルート型かワイングラスで。乾杯の一杯、前菜、生ハム、フルーツ、軽い揚げ物と合わせやすいお酒です。活性にごりは瓶内に圧力があるので、立てて冷やし、少しずつ開栓します。 |
蒸留機の構造が単純なため、原料と発酵に由来する香りの成分が多く残ります。原料と産地が変わると香りが大きく変わるのが、この区分のいちばんの特徴です。
アルコール分25度のものなら、焼酎6に湯4の「ロクヨン」でアルコール分15度前後になり、旨味と甘みが出ます。ほかに水割り、ロック、ストレート、炭酸割りがあります。湯を先に入れてから焼酎を注ぐと自然に混ざります。
連続式蒸留機はフーゼル油やアルデヒドなどの不純物を取り除けるため、原料由来の香りがほとんど残りません。香りの弱さがそのまま使いやすさになります。
果汁、お茶、炭酸などで割る飲み方が中心です。梅酒などの果実酒を家庭で漬けるときにも使われます。単式蒸留焼酎と混ぜたものは混和焼酎と呼ばれ、比率によって「甲類乙類混和焼酎」か「乙類甲類混和焼酎」と表示されます。
蒸したさつまいもの甘い香りが基本です。品種と蒸留方法によっては、ラベンダーやばら、すみれのような花の香り、ライチやマンゴーのような果実の香り、紅茶やヨーグルトのような印象になるものもあります。ジョイホワイトで造ったものは淡麗です。
お湯割りがいちばん香りが立ちます。鹿児島には「前割り」といって、あらかじめ水で好みの濃さに割り、数日から1週間寝かせてから燗をつける飲み方があります。ロックや炭酸割りも合います。豚肉料理、揚げもの、味の濃い煮込みと相性がよいお酒です。
麦らしい香ばしさとすっきりした甘みが基本です。蒸留方法によって、焙煎した麦やナッツのような豊かな風味のものから、さわやかな果実の香りの軽いものまで幅があります。
水割り、ロック、お湯割り、炭酸割りのどれでも成立します。香りが穏やかなので、食事中ずっと飲む一本として使いやすいお酒です。焼き鳥、天ぷら、鶏の唐揚げ、蕎麦と合います。
まろやかで、ほんのり甘みがあります。蒸留方法によっては軽く花のような味わいになり、清酒の吟醸香に近い果実の香りが出るものもあります。
お湯割り、水割り、ロック。人吉・球磨には「直燗(じきかん)」といって、酒器ごと直火にかけて温める飲み方があり、ガラという酒器とチョクという小さい杯を使います。川魚、味噌味の料理、鶏肉と合います。
軽くてさわやかで、黒糖の甘い香りがします。蒸留酒なので焼酎そのものに糖分はほとんど含まれていませんが、飲むとほんのりした甘みを感じます。
ロック、水割り、炭酸割りが合います。お湯割りにすると黒糖の香りがはっきり出ます。豚肉、鶏の揚げもの、南国の果物と合わせやすいお酒です。
軽くてなめらかな口当たりです。白い花や青い草のような香りがあり、ほんのりした甘みと深みがあります。
蕎麦屋で蕎麦湯で割る飲み方が知られています。水割り、ロック、炭酸割りのいずれも合います。蕎麦、天ぷら、鴨肉と合わせやすいお酒です。
まろやかで素朴な味わいで、後味にほんのり甘みがあります。熟成するとバニラのような甘い香りとコクが出て、10年20年と経つと琥珀色に色づきます。泡盛は瓶に詰めたあとも熟成が進むのが、樽で熟成させる洋酒との違いです。
沖縄では食事と一緒に水割りで飲むのが一般的です。本格焼酎はアルコール分25度前後のものが多いのに対し、泡盛は30度程度とやや高めのものが多いためです。豚肉料理と合わせやすく、脂の多いものには炭酸割りにライムかレモンを絞ると軽くなります。
すっきりしてシャープ、黒麹よりやや軽い飲み口になります。芋焼酎に使うと、芋の甘みと風味は残しながら、角のない仕上がりになります。
どの飲み方でも成立しますが、お湯割りにすると穏やかな甘みが出ます。ラベルに「白」と書かれていることが多いので、黒麹のものと飲みくらべると違いがわかりやすくなります。
どっしりとして重ための味わいになります。芋焼酎に使うと、芋由来のコクが強く出て、濃い仕上がりになります。辛口に感じるものが多いのは、クエン酸の酸味によると言われています。
お湯割りにすると香りとコクがよく出ます。味の濃い料理、豚の角煮、焼き肉、揚げものと合わせやすいタイプです。
果物のような香りが出るのが特徴で、清酒の吟醸酒に近い印象になることがあります。温度管理の技術が上がったことで、黄麹を使った芋焼酎も増えています。
香りを楽しむタイプなので、ロックか水割り、または冷やしてストレートで。白身魚、鶏肉、野菜の料理と合わせやすいお酒です。
03 / 世界の蒸留酒
穀物などを原料にした蒸留酒に、ジュニパーベリー(西洋ねず)をはじめとする植物の香味をつけた酒です。EUの規則では、ジュニパーベリーの香りが主体であることがジンの条件とされています。それ以外の決まりは少なく、造り手ごとの差が大きく出ます。
トニックで割るのが一般的ですが、ソーダや冷やした水でも香りの出方が変わります。まず少量をそのまま口に含んで香りを確かめ、そのうえで割り方を決めると、銘柄ごとの違いが分かりやすくなります。和飲九九が扱う伊勢神GIN、赤鳥居、和GIN、ベルギーのArduennaも、それぞれ使う植物が違うので飲み比べに向いています。
穀物やじゃがいもなどを発酵させて蒸留し、高い純度まで精製した蒸留酒です。EUの規則では、原料由来の風味を大きく削る造り方が前提になっています。無色透明で、香味の要素が少ないことが特徴です。
冷凍庫で冷やしてそのまま少量ずつ飲む方法と、カクテルの土台にする方法があります。塩気のある料理と合わせると口の中が切り替わり、食事の途中でも飲みやすくなります。
サトウキビの糖蜜、またはサトウキビの搾り汁を発酵させて蒸留した酒です。カリブ海と中南米を中心に、世界の広い範囲で造られています。樽で寝かせるものと、寝かせずに瓶詰めするものがあります。
熟成したものは常温でそのまま、軽いものは炭酸やライムと合わせると持ち味が出ます。同じ産地でも糖蜜と搾り汁では別の酒のように違うので、造り方を確かめてから選ぶと失敗が少なくなります。
リュウゼツラン(アガベ)の株を加熱して糖に変え、発酵させて蒸留した酒です。テキーラはメキシコの原産地呼称で、ブルーアガベを使い、指定された州で造ることが定められています。同じアガベの酒でも、産地と製法が異なればメスカルなど別の名で呼ばれます。
ライムと塩で一気に飲む形が知られていますが、良いものは常温で少しずつ飲むほうが香りが分かります。柑橘や香草を使った料理と合わせやすい酒です。
ワインを蒸留し、樽で寝かせた酒です。フランスのコニャックとアルマニャックはいずれも原産地呼称で、産地、品種、蒸留と熟成の方法が定められています。ブドウ以外の果実から造るものは、果実の名を添えて呼び分けます。
大きすぎないグラスで常温で飲むと香りがまとまります。食後に少量を時間をかけて飲む形が定着していますが、炭酸で割って食事に合わせる飲み方も広まっています。
ワインを搾ったあとに残るブドウの搾りかす(ヴィナッチャ)を発酵・蒸留した酒です。EUの規則では、Grappaという名称はイタリアで造られたものに限って使えると定められています。ワイン造りの副産物から生まれた、産地に根づいた酒です。
食後に常温か少し冷やして、小さめのグラスで飲むのが一般的です。和飲九九が扱うDistilleria De Negriのように品種を絞って仕込むものは、同じ品種のワインと並べると原料のつながりが見えてきます。
米、麦、さつまいも、黒糖などを麹の力で糖に変え、発酵させて蒸留する日本の酒です。酒税法では、単式蒸留焼酎と連続式蒸留焼酎に分けられています。泡盛は沖縄で、黒麹とタイ産の米を使い、仕込みのすべてを麹で行う造り方をとります。
お湯で割ると香りが開き、水やロックだと輪郭がはっきりします。九州では温めた器にお湯を先に入れてから注ぐ方法が知られています。泡盛は水割りのほか、古酒を常温で少しずつ飲む形もよく取られます。
中国と台湾で造られる穀物の蒸留酒です。高粱(コーリャン)を主な原料とし、麹を使って発酵させたあと蒸留します。台湾では金門の高粱酒がよく知られ、酒類の製造と表示は菸酒管理法のもとで管理されています。
台湾や中国では小さな杯で、料理と一緒に少しずつ飲む形が一般的です。油を使った料理や味の濃い料理と合わせると、口の中が軽くなります。度数が高いので、水を用意して間に挟むと飲みやすくなります。
北欧の蒸留酒で、キャラウェイまたはディルの種子の香りが主体であることがEUの規則で定められています。じゃがいもや穀物からとった原酒に、香草の香りを移して造ります。デンマーク、ノルウェー、スウェーデンで、それぞれ異なる型が育ちました。
よく冷やして小さなグラスで、魚や塩漬けの料理と一緒に飲む形が定着しています。樽で寝かせたものは常温でも香りが開きます。
蜂蜜を水で薄め、酵母で発酵させて造る酒です。蒸留酒ではなく醸造酒にあたり、日本の酒税法では「その他の醸造酒」に分類されます。人が造ってきた酒のなかでも古い部類に入り、世界各地に同じ発想の酒が残っています。
冷やしてワイングラスで飲むと香りが立ちます。甘口はチーズやナッツ、辛口は鶏肉や野菜の料理と合わせやすい酒です。和飲九九は台湾の傳奇酒業が造るBee Buzzを扱っており、蜂蜜の違いが味にそのまま出る酒であることが分かります。
04 / ウイスキー5大産地
同じウイスキーでも、場所が変われば別の飲みものです。
大麦麦芽だけを使うモルトと、穀物を連続式で蒸留するグレーンがあり、両方を混ぜたブレンデッドが生産の中心です。スコッチウイスキーは、スコットランドで蒸留し、容量700リットル以下のオーク樽でスコットランド国内において3年以上熟成させることが法律で定められています。地域ごとの性格に加え、樽の種類とピートの使い方が味を大きく左右します。
アイラ、スペイサイド、ハイランド、ローランド、キャンベルタウン
全体に口当たりがなめらかで、穀物の甘さと熟した果実の香りが出るものが多く見られます。アイリッシュウイスキーは地理的表示として保護され、技術要件のなかでアイルランド島内での3年以上の熟成が定められています。ピートを使う蒸留所は限られており、煙の香りは主役ではありません。
シングルポットスチル、三回蒸留
内側を焦がした新品の樽を使うため、バニラ、カラメル、焦げた木の香りがはっきり出ます。連邦規則では、バーボンは原料の51%以上がとうもろこしで、蒸留はアルコール分80度以下、樽詰めは62.5度以下と定められています。ケンタッキー州とテネシー州が中心ですが、近年は各州に小規模な蒸留所が増えました。
バーボン、ライ、テネシー
全体に軽くなめらかで、香辛料のような風味とやわらかい甘さが同居します。連邦規則では、カナダ国内で糖化・発酵・蒸留し、容量700リットル以下の木樽でカナダ国内において3年以上熟成させることが求められています。原酒を穀物ごとに造り分けてから組み合わせるため、仕上がりの幅を取りやすいのが特徴です。
ライの呼び名、原酒を分けて造る
スコットランドの造り方を土台にしながら、樽の選び方と気候の差で独自の性格が育ちました。酒税法にウイスキーの定義が置かれているほか、2021年からは業界団体が定めた「ジャパニーズウイスキー」の表示に関する自主基準が運用されています。全体にまとまりがよく、香りの出方が穏やかなものが多く見られます。
気候の幅、小規模な造り手、ミズナラ樽
5大産地には数えられませんが、近年は国際的な品評会で評価される機会が増えました。高温多湿の気候のもとで熟成が速く進むため、年数が若くても色が濃く、熟した果実や甘い香りが強く出ます。そのぶん樽から失われる量も多く、造り手にとっては負担の大きい環境でもあります。
熟成が速い、天使の分け前が大きい、造り手
図はすべて和飲九九が作成しました。写真を使用している場合は各写真の出典を併記しています。